

モツザワ・肉丼研究室
美味しい肉丼とは何か。突き詰めていくと地域と風土が見えてくる。
天下一の肉山盛丼を作る為に料理長が食べ歩き・モツ煮を中心に考えたお話し。
(随時編集中)
肉の丼・その深み
01ホルモン

ホルモン煮とは何か?
もつ煮のモツとは、臓物のモツである。要するに内臓肉。牛も豚も馬も羊も内臓肉はモツと呼ぶ。それを煮込んだものがモツ煮だ。日本においてもつ煮の有名な地域は「群馬県」である。畜産が盛んな群馬はモツとコンニャクのシンプルな具を、ニンニク・生姜・醤油で炊いて伝統的なもつ煮を郷土料理としている。その中でもダントツに有名な店が渋川市の「永井食堂」である。カウンターのみの店で1日600食という伝説的な売上を誇る店。もともとは普通の食堂がもつ煮で成り上がった有名店だ。
02ホルモン
永井食堂(系)のもつ煮とは
永井食堂を筆頭とする関東系のもつ煮とは「汁物」である。イメージとしては味噌汁の具がモツとコンニャクによって構成されモツは軽く噛めばバラバラになるほど煮込まれている。香りはニンニクと生姜、店によってニンニクが強いか生姜が強いかが特徴となっている。味付けの系列は大きくブレないが塩味の強さは店それぞれである。甘味はあまり感じない。モツの風味とニンニク生姜のバランスに醤油味噌の旨味を合わせて味の組み合わせを作っている。

03ホルモン

伝統と進化の考察
関東系のもつ煮はその伝統と形式が明確に定義されている。故に少し保守的である。汁物と定義できる量の汁とマイルドな塩味のおかずにも関わらず別に「味噌汁」が付属するのが伝統的スタイルであるが、正直、汁が多めだと感じる。汁を食べて、米を食べて、汁を飲む。モツも歯ごたえがない「腸のみの煮込み」なのでこの3種類だと段々と咀嚼に飽きを感じる。なので「たくあん」が付属してくる。味は良いがこの辺りは名古屋人からすると伝統に進化が阻害されていると感じる。
04ホルモン
「土手煮」との比較
群馬のもつ煮と、ほぼ同じ材料で作られるもう一つの臓物系煮込みが「土手煮」である。我々愛知県の誇る郷土料理だ。赤黒くて濃厚な八 丁味噌・強めの甘みをつけてご飯が進みまくるおかずである。こちらも「煮」と定義されているが汁物よりも佃煮に近い味の濃い料理である。単に味噌を赤くしただけではなく、そもそもが系列の違う食べ物であると言える。


05牛肉
最強のファストフード牛丼
牛丼と言えば日本で手軽に食べられる伝統食ファストフードだ。牛肉という高額な食材を気軽に温かい白飯に乗せて「早い・旨い・安い」で私たちの社会を支えてきた。大手チェーン店の作り方は牛ショートプレートを薄く切って玉ねぎと共に濃い口のタレで軽く煮て作る。肝心なのは煮込み時間だ。塩度の高い高温の煮汁で長く煮ると味が濃すぎて旨くない。でも安さと早さを求めるならコレが正解だ。
06牛肉
モツザワの牛丼
天下一走の牛丼は世間一般的に言う「牛丼」ではなく、どちらかと言えば「牛煮込丼」だ。薄切肉をさっと加熱した素材そのままのスタイル。それだけではなく、長時間大きく切った肉の塊を煮込んで肉の中のコラーゲンを溶かした部位も使う。肉文化の中心欧米では薄切肉は使わない。硬い牛肉は煮込んで柔らかくして食べる。薄切肉と塊肉の良さを合わせてコク深い牛丼を仕上げる。


07麻婆
四川肉麻婆豆腐
たっぷりの豚ひき肉は炒めラードが透明になるまでカリカリに炒める。ピーシェン豆板醤をその油で炒め、香りを出す。骨からとった清湯を加え豆腐を静かに茹でる。紹興酒・トウチ・醤油・テンメン醤を加え火力を上げる。ネギと葉ニンニクをあわせて、水溶片栗粉を細く垂らして、軽く混ぜ火力は最大に。鍋底が焦げるまで加熱しザっと混ぜ合わせたら花椒と辣油を振りかけて完成

料理長モツザワの目指す「肉山盛定食」
我々がこの令和の時代に技術と情報を用いて新たに作り出すべき「肉の丼」とは何か、異なる3つの地域の肉の食べ方を融合させ。一つの丼に集結させる。
1
ホルモン丼は甘くてコッテリ
2
肉麻婆は山椒とニンニクでガツンと
3
異なる香りの三重奏を綺麗に組み立てる

4
こってり甘みのホルモン丼、牛丼・麻婆との相性を合わせていく
5
牛丼は牛の旨味と出汁の深さで
6
これを食べる為に日本中から多くの方が参加する。そのレベルを目指す。